愛俐のフリー台本

フリー台本になります。声劇や演劇向けの台本を書いています。(作品を見聞きせてくださると個人的にとっても嬉しいです)※強制ではありません

幸せの象徴〜対義物語〜

 

アリサはいつも幸せだった。

 

慕ってくれる親友のユイ。

 

愛してくれる彼氏のカイト

 

すべてが順風満帆。

 

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しかしそれすべてが

 

偽りだったら?

 

 

 

配役:アリサユイカイト
人数:女性二人(メイン)男性一人(サブ)
合計:男女三名
予想時間:15分
 
 
 
(使用したら聞かせてくれると、嬉しいです)※強制ではありません
 
 
 

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私はいつも好きな人の中心にいた。

 

明るく元気な友達に慕われ

 

大好きな親友とも仲良く

 

私を愛してくれる彼氏もいる。

 

まさに最高の幸せな日常。

 

 

「私、今とっても幸せなの。これ以上ないくらい」

 

 

最近、毎日言ってるね」

 

 

「えーカイトもでしょ?」

 

 

「まぁな」

 

 

「まーたイチャイチャしてる」

 

 

「アリサが幸せなんだって」 

 

 

「へー。ノロケかー?このこの〜」

 

 

「からかわないでよ〜」

 

 

でもそれもこの会話も、すごく幸せな時間。

 

そうずっと変わらない。

 

変わったことと言えば、付き合いだした頃より少し距離を感じることだ。

 

まぁ、もう半年たつしね。どこのカップルもこんな感じだろう。

 

 

 

 

「今日は珍しくカイトが一緒に帰れないってさ〜

 

約束してるわけじゃないからか、ユイも来なかったしなぁ

 

仕方がない。一人で帰るか〜」

 

 

 

 

「えー!ほんとにー?」

 

 

「ん?聞き覚えのある声だ」

 

 

「あっ、やっぱりユイだ!おーぃ…え隣にいるのは…カイト…?」 

 

 

「まじだって!笑うなよ〜」

 

 

「カイト!ユイ」

 

 

「え?あっ!アリサ…」

 

 

「びっくりしたー!」

 

 

 

「なに…その反応…二人でなんでっ…」

 

 

「二人でアリサの誕プレ買ってたんだよ?」

 

 

「え?誕プレ?」

 

 

(微笑みながら)

「サプライズできなかったなー。明日だろ?」

 

 

「そうだったんだ。なんだー!

 

二人ともありがとう!」

 

 

(笑いながら)

「うん!明日が楽しみだね」

 

 

「私よりユイが嬉しそう」

 

 

「ほんとユイはアリサが大好きだな」

 

 

 

 

(キーンコーンカーコン)  

学校のチャイム / ウェストミンスターの鐘

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  • SC-Mirai
  • インストゥルメンタル
  • ¥150
  • provided courtesy of iTunes

 

 

 

「今日カイトの家集合ね?」

 

 

「わかった!」

 

昨日も今日もカイトから一通もメールが来てない。

 

珍しい…

 

 

「あっそうそう。これ、誕プレ!!」

 

 

「あっいつものだ!今年もありがとう!」

 

 

ユイはいつも、私の誕生日プレゼントに小さなクローバーの花束をくれる。

 

 

これだけは出会った時から欠かさず、いつもくれるプレゼント。

 

 

ユイいわく、私達が出会った時

 

 

近くにクローバーがたくさん咲いていたらしい。

 

 

私は足元なんてみていないから

 

ユイは素敵な女の子だなとこのエピソードを思い出すたびに思う。

 

 

「早く渡したかったの!じゃあまた」

 

 

いつも誕生日当日は一緒にいるし、今日もどこかで落ち合うんだろうなって

 

そう思っていた。

 

 

私は家に一度帰って着替えてから、カイトの家に行くことにした。

 

 

「誕生日の時ぐらいとびっきりのお洒落をしなきゃね!」

 

 

着替えてる途中にふと、父の読んでいる新聞に目がいった。

 

 

そこにはいろいろな特集が載っている。

 

 

「花特集?」

 

 

一番隅っこにあった花の特集に目が止まった。

 

 

「クローバーあるかなー?」

 

 

『クローバーとは…』

 

 

「あったあった」

 

 

『クローバーとはマメ科の~で花言葉は幸せ。または

 

 

「へー。初めて知った。幸せかぁ

 

 

ユイ、ちゃんとそういう言葉も考えてくれてるのな?

 

あともう一つの花言葉は…」

 

 

(♪♪♪~~~)

 

 

「わっなんだ電話か。やばいっ時間こんなに経ってたの〜」

 

 

「もしもし?」

 

 

「今、どこにいるの」

 

 

あれ、怒ってる…いつもより低い声。

 

 

「ごっごめんね。もう出るね」

 

 

急いで荷物を用意して外に出る。

 

 

そういえばクローバーのもう一つの花言葉。

 

 

…なんだったんだろう。

 

 

カイトの家に着くと誰もいない。

 

 

「え〜もう、誰もいないの〜」

 

 

 

「もう終わりにしようよ!!」

 

 

屋上の方から?…ユイの声?

恐る恐る行くと、そこにはカイトとユイ。

 

「カイ‥」

 

 

「なんで今更!俺はお前の方が好きなんだよ」

 

 

「え‥」

 

 

どういうこと?今、カイトがユイを好きって。

 

 

「あっ…アリサ…」

 

 

ユイが目を見開いて気まずい顔をする。 

え、なんでどうして。私の頭の中はパニックになった。

 

 

その怒りの矛先はユイへと向かった。

 

 

「ちょっときて」

 

 

「おい!!俺が悪いんだ。ユイは悪くない」

 

 

「私は大丈夫。私も話したいの」

 

 

「言い訳があるなら聞くよ」

 

 

言い訳…う…」 

ユイが泣く

 

  

低い声で

「……なんてね」

 

 

「親友だって言ってたのに!」

 

 

「あんたを親友だと思った日なんて一度もない

 

やっぱり、あんた、私のこと覚えてないのね」

 

 

「え?」

 

 

「いつも頭空っぽで、幸せそうにただ笑っているだけの女が気づくわけないか〜。あの地味な私から、彼氏を奪った天真爛漫(てんしんらんまん)なアリサちゃん

 

あんたのせいで!あんたのせいで、

 

私の幸せだった中学生活の日々が一瞬で壊れた。

 

あの日のことで毎年あんたのことを思い出す…

 

私の大好きだった彼氏を

 

地味で

あの頃の私でも好きだと言ってくれたあの優しい私の大切な彼を。

 

だから、高校生になったら変わろうと精一杯努力したよ。

 

もうこんな惨めな思いは絶対しないって誓ったから。

 

そしたら、神様って見てくれているんだね…

 

偶然アリサと同じ高校。

 

更にアリサには大事な彼氏もいるって?

 

このチャンスを逃してはいけないと思ったわ

 

あのときの復讐を…。絶対に。

 

だからアリサに気に入られるように明るく良い子ちゃんを演じた。

 

あんたの大好きな大好きなカイトくん?簡単だったよ?

 

待ってたわ、この日を。

 

アリサがやったことと、全く同じことをしてやろうって。

 

このアリサの誕生日まで、ずうっと我慢してきた。

 

わざとカイトの家に呼んで

 

アリサが

 

私とカイトの仲を見つけられるようにね

 

ふざけた言い方で

今日はやっぱり中止にして俺たちの仲をアリサに話そう〜

 

ってカイトはいったけど、それじゃあダメ。

 

アリサが、

 

アリサから、気づかなきゃ意味ない。

 

人は、びっくりすればするほど、印象が頭の中に残るからね

 

あ〜アリサって本当馬鹿だよね

 

クローバー

 

もらって嬉しかった?

 

あれ、私なりのメッセージだったんだけど

 

あはは

 

気づかないよね

 

だって、クローバーって幸せの象徴ってイメージしかみんなないもの」

 

 

「…私に幸せになって欲しくて渡してたんじゃないの……」

 

 

「まだそんなこと言えんの?あんたってそれ本当に天然なの?

 

あんたに幸せになって欲しいなんて思う日なんて来るわけがない。

 

ねぇ、知ってる?

 

もう一つの花言葉は…

 

 

復讐」

 

 

 

 

俺はアリサが本当に大好きで絶対変わることなんてないと思ってた。

 

 

だけど喧嘩が増えていって、

 

嫌なことが多くなって

 

アリサのことを相談していたら

 

いつも近くにいたユイに惹かれてしまっていた。

 

びっくりすることにユイは泣きながら俺に好きだと伝えてくれた。

 

アリサはそこまで俺のことを好きでいてくれているだろうか。

 

その嬉しさのあまりユイを受け入れてしまい

 

アリサを傷つけたくないからと、アリサに隠れながら会ってしまっていた。

 

それは優しさではない。

 

アリサにも悪いし、ユイが可哀想だ。

 

そう思い、俺は早くアリサに別れを告げてユイと正式に付き合いたかった。

 

だけど…

 

 

『待って!!私はまだ、ありさと仲良くしていたいの。

 

今日は、アリサの誕生日だし…もう少しだけ待って』

 

 

そう言ってユイは、アリサに関係を明かそうとしたがらなかった。

 

それだけアリサが大事なのだろう。

 

本当に良い子だな。

 

俺のことが大好きで、優しくて、可愛くて。おしとやかな子。

 

 

だから、びっくりしたんだ

 

 

「あんたを親友なんて思った日なんて一度もない」

 

 

ユイの初めて見る声と顔。

 

 

いつもの笑顔とは違う…

 

憎しみにみちた顔。

 

 

 

「ねぇ、知ってる?

 

もう一つの花言葉は… 復讐

 

あはははははははははははッ」

 

  

(ガンッ足をぶつけた物音)

 

 

「誰!?」

 

 

「いたたた……おい、どういうことだよ」

 

 

「なにこいつ。ずっと聞いてたの?

 

ならわかるでしょ?

 

 

貴方のことなんて最初から好きじゃなーいの。

 

 

利用してたの」

 

 

「おい、俺はお前が本当に好きだったんだよ」

 

 

「うーわっ!!

とうとう目の前にあんなにも大事にしていた彼女がいたのに、そういうこと言っちゃうんだ〜やばいね」

 

 

「もう、こいつとは別れるから…」

  

 

「あーヤダヤダ!!

 

やめてよ本当!

 

あー、もう復讐もしたしじゃあね。さようなら!!」

 

 

 

「ごめんな、アリサ、本当俺、自分でも最低だと思ってる。

 

けど、もうユイが好きなんだよ」

 

 

泣きながら

「うん、もういいよ…私も…悪かったの…」

 

 

「こんなこと俺が聞くのもなんだけど、なんでユイの彼氏を…?」

 

 

「あ…それは…」

 

 

「ごめん!!浮気した俺がこんなこと聞いて良いわけないよな」

 

 

「ううん、聞いて。中学の時、私も浮気をしたの」

 

 

「え…」

 

 

「あはは…今のカイトと同じかもね

 

私も彼氏がいて、だけど、上手くいってなくて

 

相談してたのが、ユイの彼氏だったみたい…」

 

 

「みたい…?」

 

 

「ユイっていう彼女がいるなんてことは知らなかったよ

 

しかも、告白された時に、見ていた女の子がユイだったということも

 

私も彼に心惹かれていたの

 

だから、すぐにその時に付き合っていた彼とはお別れして

 

告白してくれた彼とすぐに付き合った

 

卒業と同時に別れちゃったけどね…」

 

 

「それ、浮気でもないし、アリサがユイの彼氏を取ったわけでもねーじゃん…」

 

 

「ううん、浮気だよ。だって、付き合っている時に心惹かれてしまっていたら、もう私は浮気だと思うよ」

 

 

「う…そうか

 

あ!でもユイに、それ伝えた方がよくね?

 

誤解したままじゃ…」

 

 

「あーあっ!

 

やっぱり、バカだね〜カイト。

 

ハハッ今度はしっかりとした良い女を見つけるんだよ。

 

バイバイ」

 

 

____一年後

 

 

私は、街中で楽しそうに男の子と二人、手を繋いでいるユイを見かけた。

 

高校の時の女の子らしい格好ではなく、

 

中学の時と同じような容姿をしたユイだった。

 

だけど、その笑顔は何も変わっていない可愛いユイの笑顔だった。

 

 

あれから私はユイとは一言も話さず、高校を卒業した。

 

気まずかったけれど、真実を言ってもユイのプライドを傷つけてしまう気がして。

 

なんだか全てが言い訳っぽくなっちゃう気がして何も言えなかった。

 

だから、高校の卒業式。

 

靴箱に手紙を置いて帰ってきた。

 

返事はない。

 

もう元には戻れない。

 

そういうことだ。

 

だけど、私が傷つくのはお門違い。

 

 ユイのことを忘れることはないだろう。

 

 

 

 

卒業式の日、靴箱にアリサからの手紙があった。

 

「今更なに?」

 

捨てよ

 

でも…

 

あ〜めんどくさい

 

考えるのが嫌だったから、机の引き出しに入れて置いた。

 

高校の入学式。

 

あいつらと会うことはない。

 

もう過去に踏ん切りつけなきゃ。

 

「読んですぐに捨ててやろ」

 

  

ユイへ

 

 こんな手紙を書いてごめんなさい

 

 

もう許してくれるとは思っていません

 

だけど、一つだけ言いたいことがあって手紙を書きました。

 

あのね、ユイ

 

私、ユイのこと好きだったよ

 

クローバーをくれた意味が、復讐だったと言うことだとしても

 

毎年、嬉しかった

 

ありがとう

 

これだけ伝えたくて、お手紙を書きました

 

あの楽しかった時間は、私の中では大切な思い出です。

 

ユイ、大好き。

 

アリサより

 

 

泣きながら

な、何これ

 

うざ

 

うざい

 

うざいうざいうざい

 

絶対に忘れないんだから

 

はーあっ、なに泣いてんだろ 

 

これから、本当の親友と彼氏を作ってやる!

 

 

 

 

 全員で

さよなら、そしてまた会えたなら笑って幸せでいられるように

 

 

未来

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この物語の作成者:波音

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編集者:管理人

 

 

 

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